給湯器には様々な機能が搭載されていますが、ふろ機能付き給湯器の一部には「配管洗浄機能」と呼ばれる機能が搭載されています。この記事には以下のような人に役立つ情報が掲載されています。
- 配管洗浄機能がある給湯器を買えば、お風呂掃除って楽になる?
- 配管洗浄機能があればお風呂配管って汚れないの?
- そもそもお風呂配管を掃除ってしたことないけどまずい?
配管洗浄機能とは、まさにお風呂の追い炊き配管を洗浄してくれる機能のことなのですが、ユーザー様の中には「これがあれば常にお風呂配管が綺麗に保たれる」と感じている人もいらっしゃるようです。
確かにこの機能があるのと無いのとでは雲泥の差ですが過信は禁物。この機能には幾つかの注意点があります。本記事では「配管洗浄機能があればお風呂配管は汚れない?」というテーマで、配管洗浄機能について解説していきたいと思います。
給湯器博士、今回もよろしくお願いします!
こちらこそよろしくお願いします!
給湯器の機能「配管洗浄機能」とは?
手で洗えない追い炊き配管内の残り湯・汚れを押し出す機能
配管洗浄機能とは熱めのお湯で追い炊き配管内に残ったお湯を押し流すことで、従来よりも配管内の皮脂成分などの汚れを落としやすくする機能です。各メーカーや給湯器のグレードによって配管洗浄機能の名前が変わります。スマート配管クリーンと呼ばれたり、熱洗浄配管クリーンと呼ばれる機能も。
給湯器のグレードにはフルオートやオート等の区分がありますが、ノーリツ製の給湯器にはその上にプレミアムというグレードが存在し、それに搭載されている配管洗浄が熱洗浄配管クリーンです。ただしやっていることは基本的に自動湯張りと一緒で、その温度が湯張りの温度よりも高く、ある程度の殺菌効果に期待できるというものです。
お湯はりボタンを押すと200L前後のお湯が張られてしまうのに対し、配管クリーン機能は「配管の洗浄に必要十分なお湯を流すだけ」というイメージで問題ありません。プレミアムタイプなら、これを通常のお湯張りよりも高温のお湯でやるという話です。
熱洗浄配管クリーンって効果はあるの?
メーカーでは明らかに高い効果が得られるというようにアピールしていますが過信は禁物です。それにメーカーも「すべての汚れを落とせるわけではありません」と小さく書いています。
無いよりはあった方が衛生的になることは間違いないと思います。ただし、この機能があれば追い炊き配管のメンテナンスをしなくていいという機能とは言い難いでしょう。
もし本当に洗浄機能が高いなら老人ホームなんかでも採用されると思うのですが、老人ホームや病院ではろ過装置が使われていますから、そこまでの信頼度はないと思われます。
熱洗浄配管クリーンと普通の配管クリーンの違い
プレミアムタイプとフルオートタイプには「熱洗浄配管クリーン」という機能があるのに対し、オートタイプには熱洗浄配管クリーン機能がありません。
しかし上でも軽く触れたように、熱洗浄配管クリーン機能は「高温のお湯を給湯器から浴槽に流すだけ」ですから、オートタイプでも洗浄配管クリーンは可能です。文字通り「熱」があるかどうかの違いというだけで、本質は似たような機能を有しています。
これまでにオートタイプを使用していて、配管汚れに悩んでいたユーザー様がフルオートタイプ以上の給湯器に変更することで、追い炊き配管の汚れの悩みから解放されるかどうかと言ったら難しいのではないかと思います。
配管洗浄機能があればお風呂配管は汚れない?
毎日お湯張り機能を使うだけでも十分違う
配管洗浄機能はあくまで予防効果でしかありません。配管洗浄機能があるのと無いのとでは確かに風呂配管の汚れやすさに大きな違いがありますが、過信は禁物と言えるでしょう。
しかし自動湯張り機能を有する給湯器であり、毎日のように自動湯はり機能を使用しているというご家庭であれば、配管洗浄機能を使っていなかったとしても配管は汚れにくいです。
あくまで見た目上の問題ですが、お湯張り機能を毎日使用しているご家庭で、ヘドロが詰まるほど深刻な現場はほとんど無くなりました。
でも目に見えない細菌は配管内に残ってるだろうし、それが新しいお風呂に入ってるって考えたら気持ちの良いものじゃないよね。
本当に注意すべきユーザー様の特徴
- 自動湯張り機能がない給湯器を使用している人
- 自動湯張り機能を使用せずに、蛇口から手動でお湯を貯めている人
- 入浴剤を毎日使用し、追い炊きをしている人
- お風呂のお湯を2日以上に渡って使用する人
ふろ配管の汚れに対して本当に注意すべきなのは、上記の項目に該当するユーザー様です。
特に宵越しのお湯を追い炊きして利用するというご家庭の場合は、配管内に汚れがこびりついている可能性があるので注意が必要です。このような場合は熱配管クリーン機能があったとしても、蓄積された汚れを完全に除去できるほどの効果は見込めないのではないかと思います。
「今まで配管の汚れが気になっていたから、配管クリーン機能のある給湯器に買い替えようと思っている」という場合、それまでの使用期間で蓄積してしまった汚れがあると思います。
それを給湯器の配管クリーン機能だけで改善させるのは難しいと思うので、買い替える際に一度でいいので本格的な配管クリーニングを行うことをおすすめします。
お風呂配管を清潔に保つための秘訣
- お風呂のお湯は毎日捨てる(配管クリーン機能があるなら利用する)
- 入浴剤は使用しない、使用するなら追い炊きを控える
- 定期的に配管洗浄剤を使って、配管を掃除する
お風呂のお湯は毎日捨てる
こちらは微生物について研究をしている「衛微研(衛生微生物研究センター)」が公表している風呂水中に含まれている微生物のデータです。入浴人数が多ければそれだけ菌の数も増えていますが、注目すべきは一晩放置後の菌の数です。
なんと一晩放置しただけで浴槽内の残り湯の細菌数が1000倍以上に膨れ上がっており、仮に1人や2人しか入っていなかったとしても決して無視できるような数値ではありません。
お年寄りのユーザー様や入浴人数が少ないご家庭に多いのですが、1度お湯を張ったら2~3日に渡ってそれを使用する(冷めたら追い炊き)というご家庭があります。
お風呂の雑菌は入浴直後はそこまで多くなくても、お湯の温度がぬるくなってから劇的に増えると言われています。つまり翌日に入浴する頃には爆発的に雑菌が増えているというわけです。
これの繰り返しによって追い炊き配管内に雑菌が繁殖し、酷い場合にはヘドロ状になってこびりついている恐れがあります。理想は「1日の最後にお風呂に入った人が浴槽の栓を抜き、配管クリーン機能があるなら使用すること」です。
「配管クリーン機能はないけどお湯はり機能がある」という場合であれば、お風呂の栓を抜いている状態でお湯はりボタンを押し、30秒後くらいにお湯張りを手動で停止させれば配管クリーン機能と似たような動作が実行できます。
入浴剤は使用しない
単なるお湯の場合だと「皮脂、湯垢」などがメインの汚れになってくるのに対し、入浴剤の成分が絡んでくると汚れの要因が増えることに繋がります。石鹸カスなどが雑菌を増殖させるのと同じ理屈で、入浴剤の成分も雑菌の餌になりやすいので取り扱いには注意が必要です。
中でも前項の「2日以上に渡って使用する」という環境と「入浴剤を使用する」という条件が組み合わさると、追い炊き配管に与える影響は甚大だと言えるでしょう。
▶給湯器の寿命と入浴剤の関係性|入浴剤が原因で給湯器が故障!?
定期的に配管洗浄剤を使って、配管を掃除する
仮に入浴剤を使用しているご家庭であっても、定期的に配管洗浄剤を使ってメンテナンスする場合であれば、入浴剤の悪影響を限りなく小さいものにすることも可能です。
使用頻度としては汚れの蓄積しやすさなどにもよりますが、入浴剤を使用している場合であれば月に1回~2回ほど。入浴剤を使用せず、毎日お湯も交換しているという場合であれば数ヶ月に1回程度で問題ありません。
一般的なホームセンターなどで売られている配管洗浄剤で構いませんし、使用方法は「残り湯に薬剤を溶かして追い炊きするだけ」と極めて簡単なので、汚れが気になるという方は是非お試しください。
本記事のまとめ
- 配管洗浄機能が付いている給湯器なら日々のメンテナンスの一つとして利用しよう
- 配管洗浄機能が付いているからと言って、追い炊き配管を掃除しなくてもいいはNG
- 入浴剤を使用する方、残り湯を2日以上利用するという方は特に注意
- 定期的に洗浄剤を使った配管洗浄がおすすめ
お風呂配管の汚れに悩まされているユーザー様は意外と多いのですが、中には熱配管クリーン機能を過信している人も多いような印象を受けます。
お風呂配管を清潔に保つためには、日々の注意が重要です。配管クリーン機能を使わなくても配管を汚さない工夫はいくらでも出来るので、まずは出来ることから挑戦してみてはいかがでしょうか。