暖房ボイラーと暖房端末(ルームヒーター、パネルヒーター、ファンコンベクター、浴室乾燥機など)で、それぞれ製造メーカーが違うというお家は少なくありません。本記事は以下のような人に向けて書かれています。
- 暖房ボイラーと暖房端末の製造メーカーが違う
- 暖房端末の調子が悪いんだけど、熱源機と端末機のどちらが原因なのか分からない
例えば「暖房ボイラーはノーリツ製だけど、使用しているルームヒーターは富士通製」等のケースですね。もし「富士通製のファンヒーターから暖かい風が出ない」という場合、あなたならどこに修理依頼の連絡をしますか?
ノーリツのボイラーが悪いような気もすれば、富士通のファンヒーターが悪いような気もしますよね。正しい業者に連絡しないと、無駄な費用が発生してしまうかもしれません。
このページでは熱源機と暖房端末で製造メーカーが違うという場合、どこで修理依頼する業者を見分けるかについてのポイントをご紹介したいと思います。
給湯器博士、今回もよろしくお願いします!
こちらこそよろしくお願いします!
修理依頼先、連絡先を間違うとどうなる?
- 暖房ボイラーが悪いのに、暖房端末のメーカーを手配してしまった
- 暖房端末が悪いのに、暖房ボイラーのメーカーを手配してしまった
暖房端末が動かないとき、場合によっては「暖房ボイラーが悪いのか、暖房端末が悪いのか」の判断が付きにくいことがあります。この時、間違った修理先に連絡してしまうとどうなるのでしょうか。
結果から言うと「修理業者を手配し直すことになり、間違ってしまった業者に出張点検料を支払うことになる」です。暖房が使えない時間が長引いてしまう上に、出張点検料(大体5,000円~6,000円程度)を取られてしまうというのは大きな痛手と言っていいでしょう。
こうならないためにも「どこに原因があるのか」を、ある程度ユーザー様自身が調査する必要があります。冷静になって考えれば分かることが多いので、ぜひ本記事を参考に原因を探ってみてください。
ちなみに「メーカーではなく、手広くやっている設備屋さんに依頼して判断してもらう」という方法を取る人もいますが、この場合でも最終的にメーカーを手配することになることが多いです。結果、修理の請求先が「メーカー→設備屋→ユーザー様」となり、いくらかの中間マージンが乗せられてしまう可能性があります。
暖房端末に異常があるときの修理連絡先の見分け方
- 暖房ボイラーのエラーの有無
- 別端末の症状(暖房端末を複数所有している場合)
- 暖房端末の仕様じゃないかどうか
暖房ボイラー(暖房熱源機)にエラーは出ていないか
リモコンまたは本体の燃焼ランプを確認
まずは暖房ボイラー(暖房熱源機)にエラーが出ていないかどうかを確認しましょう。暖房ボイラーのリモコンがある場合はリモコンを、リモコンが無い場合はボイラー本体が変に点滅していないかどうかを確認してください。
基本的に暖房ボイラーがエラーを出している状態であれば暖房ボイラーが悪いという判断でほぼ間違いありません。特に多いのはE043ですね。
▶給湯暖房機のエラーE043は暖房水不足|応急処置可能でも注意あり!
ちゃんと暖房ボイラーが燃焼するかどうかを確認
エラーが表示されていないかどうかを確認する時に、もしエラー表示が無ければ「ちゃんと燃焼しているかどうか」も確認してみてください。
リモコンがあるならリモコン上で火のマークが付くかどうかで確認できますし、リモコンが無い場合は暖房ボイラーから排気ガスが出ているかどうかでも確認できます。燃焼動作にしっかりと入っているようであれば、熱源機以外の部分(ボイラーよりも端末側)に不具合が生じている可能性がグッと高まるでしょう。
リモコンがない場合は暖房ボイラー本体の燃焼ランプを見ましょう。点灯しているなら燃焼、点滅ならエラーの可能性が高いです。
暖房端末を複数所有しているなら別端末を確認する
すべての暖房端末で悪い症状が起きているかどうか
- 暖房ボイラーが悪い:すべての暖房端末で同様の症状が出る(ことが多い)
- 暖房端末が悪い:その暖房端末のみ悪い
「床暖しかない」とか「浴室乾燥機一台での運用」という場合は難しいですが、暖房端末が複数あるなら別の端末はどうかを確認するのが有効です。
パネルヒーターは非常にわかりやすく、すべてのパネルヒーターで同じ症状になっているなら暖房ボイラーが悪く、特定のパネルヒーターだけがおかしいならパネルヒーターに問題があります。
ごくまれに「暖房ボイラーの循環能力が低下していて、暖房ボイラーから一番遠い場所にある暖房端末だけ調子が悪い」ということが起こったりしますが、本当にまれなケースなのであまり考えなくていいでしょう。
ルームヒーターが複数台あるなら移動してみてどうなるか
もし不具合が出ている暖房端末がルームヒーターで、他の場所への移動が可能だという場合は、別の箇所に移してどうなるかを見て欲しいと思います。
ご家庭によっては「ルームヒーターが2台以上、ルームヒーターを使用できる温水コンセントが2箇所以上」というケースも少なくないので、そういうケースであれば「今動かない組み合わせを変えてみてどうなるか」を確認してみてください。
暖房ボイラーに問題があるのだとすれば、どのような組み合わせを試しても同じような症状になります。「この組み合わせだと正常動作する」というパターンがあるなら、暖房ボイラーには問題がないと考えていいでしょう。
もし「特定の温水コンセントを使ったときだけ動かない」というのであれば、温水コンセントや暖房配管などの不具合の可能性が高まります。「特定のルームヒーターだけが動かない」というのであれば、そのルームヒーターの不具合でほぼ確定です。
暖房端末がパネルヒーター、動かせないルームヒーター等の場合
暖房端末がパネルヒーターだったり、あるいは動かせないファンヒーターだという場合でも、複数箇所に設置されているのであれば「特定の箇所だけの不具合なのか、それとも全体の不具合なのか」で判断が可能です。
もし正常に動作している箇所が1箇所でもあれば、暖房ボイラーの不具合という可能性は非常に低くなります。
またパネルヒーターの場合は「左右のどちらかしか温まらない、上下のどちらかしか温まらない」というのは仕様上の可能性があるので、パネルヒーターの取扱説明書をご確認ください。
特定のパネルヒーターが動作しない場合は「バルブが固着していて正常に循環液が流れていない」可能性があります。何度か開けたり閉めたりすることで正常に動作する可能性があるので、ぜひ試してみてください。
暖房ボイラー→暖房配管→暖房端末のどこかに不具合がある
端末の直前まで熱い循環液が来ているかどうかを確認する
ルームヒーターを始めとする多くの暖房端末は、もし温風が出てこないという症状でも「暖房端末の直前まで温かい循環液が来ているかどうか」くらいは、本体に手をかざすと分かったりします。
パネルヒーターの場合でも「パネルそのものは熱くならないけどバルブ付近は熱い」ということが結構あって、この場合は暖房ボイラーは正常に動作していることが多いです。暖房端末の直前まで熱い循環液が来ていることが分かれば、ほぼ暖房端末の不具合と考えて間違いないでしょう。
一方で「暖房端末の直前でも熱い循環液の雰囲気を微塵も感じない」という場合は、そこに至るまでの配管か熱源の暖房ボイラーに問題があるので、暖房ボイラーが動いているのであれば配管に問題がある可能性が高いです。
我が家のルームヒーターが熱くならないから、バルブの下の根元を触ったら熱かった!肉球を火傷した!
パネルのバルブ付近を確認する場合、もし熱い循環液が来ていると火傷してしまう可能性があるので、確認の際は厚手の手袋をするなど安全面には十分に配慮してください。
そういう大事なことは先に言ってくれるか?
暖房配管に問題があるケースとは?
暖房端末付近では熱い循環液の雰囲気を感じず、しかし熱源の暖房ボイラーはしっかり動作しているっぽい…。こういう状況だと中間の暖房配管が怪しくなります。
ここで問題なのは「暖房ボイラーでもなく、暖房端末でもなく、暖房配管に不具合があったらどこに修理依頼をすればいいのか」という部分ではないでしょうか。
通常、多くのご家庭では上記画像のような暖房用熱動弁(アクチュエータ)と呼ばれる部材が使われていて、ここで循環液の流量調整をしています。ここに不具合があると「暖房ボイラーは動いているけど、家の中には熱い循環液が全く入ってこない」という症状になります。
基本的には、給湯器メーカーの修理業者を手配すれば問題ないと思いますが、一部例外として「施工業者でないと修理できない」という可能性もあるため、この場合は施工業者やハウスメーカーなどに聞いて確認しておくとトラブルが少なくなるはずです。
本記事のまとめ
- 暖房ボイラーが悪いのか、暖房端末が悪いのかをしっかり見極めよう
- 暖房ボイラーが悪い場合は、すべての暖房端末で同様の症状になる(ことが多い)
- 暖房ボイラーが悪い場合は、リモコンまたは本体に何らかの違和感(エラーなど)が出ることが多い
全てのご家庭で「暖房ボイラーと暖房端末のメーカーを統一してくれれば問題ない」と思うのですが、どうしても「パネルヒーターはここ/ファンヒーターはここ」というこだわりをハウスメーカーが持っていたりするので、なかなか難しい部分が大きいです。
暖房ボイラーは動いているか、暖房端末は全てが動作していないか。この2点を確認してから修理依頼の電話をするだけでも連絡先を間違うリスクは十分に減らせるので、もし困った場合は少し落ち着いて調査してみてください。