給湯器の故障の中には「エラーは出ていないものの、音が正常とは思えない」という症状も少なくありません。
- ピーというような高い音がする
- ブオーンというような重低音が気になる
- ウォンウォン唸っているような音がする
上記のような症状の場合は幾つかの故障が思い当たりますが、特に多いのは「ファンモーターの故障」です。
そこで今回は「ファンモーターが故障、劣化している時に出しやすい異音の症状」について分かりやすくご紹介していきたいと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

給湯器博士、今回もよろしくお願いします!

こちらこそよろしくお願いします!
給湯器の異音はどういう音かよりも「いつ鳴るか」が重要
まず始めに、一点だけアドバイスです。
給湯器から異音がしてきて不安だという場合、エラーが出ているのであれば「〇〇というエラーが出て異音がする」という内容の修理依頼をしていただければ問題ありません。
しかしエラーが出ていないという場合は、壊れる寸前の状態であったり、給湯器は悪くないのに別の何かが原因で音を出している可能性が考えられます。
この時、単に「異音がする」というのではなく「ピーというような音がする/ブオーンというような音がする」という内容で修理依頼をしていただくと助かります。
更に言うと「どのタイミングで鳴るか」も重要で、ご自身が聴こえた擬音語を用いながらも「給湯を使用しているとずっと鳴る」とか「お風呂の時だけ鳴る」などのヒントがあると、修理に伺う立場としては大変ありがたいです。

音はどうしても「どのように聴こえるか」という部分で個人差が出てしまうので、事前に予想するのも難しくなってしまいます(もちろん些細な情報でもあった方が助かりますが)。
しかし「給湯の時は鳴らないけどお風呂を沸かすと鳴る」というような特定のタイミングがあれば、ある程度の部品が絞れるようになるので、予測して部品を用意することができるかもしれません。

修理業者の人が予想できれば、事前に部品を持ってきてもらえるかもしれないし、それによって給湯器の修理が完了するまでの日数も少なくなるかもしれないということか!
異音でもっとも多いのはファンモーターの故障
ファンモーターとは?
ファンモーターとは「扇風機のようにプロペラが付いている形状の送風機」です。
給湯器内に残っている排ガスを外に送り出したり、燃焼に必要な酸素をバーナー部分に供給する目的で搭載されています。
給湯器が燃焼動作に入る前、給湯器の燃焼が終わった後…。
音を出すことが考えられる部品の中で「1番最初に動いて1番最後に止まる部品」と思っていただいても結構です。
そのため「蛇口を開けてすぐ(リモコンに燃焼マークが付く前)の段階で既にうるさい」とか「蛇口を閉めて、リモコンからは燃焼マークが消えているのにうるさい」という場合は、ファンモーターが怪しい可能性が、一気に強くなると言えるでしょう。

ファンモーターは給湯や風呂機能、暖房機能に関わらず、給湯器を動作させる際は必ずセットで動く部品です。
そのため「追い炊きの時だけうるさい」という場合だと循環ポンプなどが怪しくなってきます。
ファンモーターが故障するとどのような音が鳴る?
- ピーというような高い音がする
- ブオーンというような重低音が気になる
- ウォンウォン唸っているような音がする
主にこのような内容の修理依頼が多いです。イメージ的には「扇風機が回らないような負荷をかけた時に鳴りそうな音」になることが多いかもしれません。
お湯を使おうとすると必ず発生する異音で、何かがスムーズに回れていないような感じの音なら、十中八九間違いなくファンモーターだと思われます。
あとは「ファンモーターが正常に回転できていないせいで、酸素の供給量が少なく、燃焼不具合を引き起こしているために発生する異音」という可能性も。
この場合は燃焼音が「ボッ!ボッ!」というような音になったり、人によってはファンモーターから「爆発するんじゃないか?」というような不安を感じてしまうほど、大きな音が出てしまうケースもあります。

ファンモーター1つの故障でも色んな症状があるんだね。爆発するような音って想像しただけでも怖いんだけど、それって大丈夫なの?

酸素量が少なくて大きい音になったり、想像以上に負荷が掛かってファンモーターが回転できないような状況になると異音は大きくなりますが、爆発するということは考えられません。
ただしエラーが出ていないからといって無視して使い続けると、本来ならファンモーターだけの交換で済んだ修理が「あれもこれも交換が必要!」となってしまう可能性が出てきてしまうので注意が必要です。
ファンモーターに虫や鳥が侵入しても異音に繋がる
ほぼ夏場限定と言ってもいいような症状ですが、排気筒から虫や鳥、コウモリなどが機器内部に侵入し、ファンモーターに負荷をかけてしまうことがあります。
この場合、多くは異音を出しながらもエラーを出さなかったり、お湯が使えたりするので、人によって「動いてるし、騙し騙し使ってみよう」と修理を後回しにするケースが少なくありません。
このような症状であれば、修理を後回しにすればするほど二次被害・三次被害に繋がり、最終的な修理費用が高くなってしまうリスクが考えられるので、明らかに異常だと思える異音が発生している場合は、早急に修理依頼することをおすすめします。

鳥やコウモリはさておき、虫なんか小さいだろうし、完全に侵入を防ぐのは難しいだろうなぁ…。

虫は確かに厄介ですが、たまたま大量発生した年だけに起きるというケースもあります。
それに鳥やコウモリは、通常であれば侵入しにくい構造になっているので、外部破損がないかどうかを確認してみるのもいいでしょう。
<<夏に多い給湯器からの異音の原因|それは機械の故障じゃないかも
ユーザー側での対処法
一時的な異音じゃないことを確認する
ファンモーターから発する異音の場合、例えば排気口や煙突の中に強風が入ってきたりするだけでも負荷が掛かって音が大きくなることもあります。
このような場合は「異音に気付いてすぐに修理依頼をしたけど、翌日に修理業者が来た頃には何も悪い症状が確認できなかった」というケースも少なくありません。
ですから、まずはその異音が一時的なものではないということを確認してください。強風じゃないかどうかを確認するだけでもOKです。
排気口や煙突に不具合がないかどうか
雪国の冬期間に多いのは「落雪などによって煙突が潰れ、排気が出ていく妨げになっている」という部分です。
これだと「本来排出されるべき排ガスが送り出しにくくなる→ファンモーターに負担が掛かって異音」という流れになっている可能性が高いのですが、この状態で使用してしまうと不完全燃焼などに繋がってしまい、ファンモーターだけの交換で済まない可能性が高くなります。
屋内タイプなら煙突が変形していないかどうか、屋外タイプなら排気口の前に物などが邪魔になっていないかどうかを確認してください。
音の発生するタイミング、どのような音かを伝えて修理依頼をする
一時的ではない、排気筒に問題がないということを確認したら、給湯器内に何かしらの不具合が生じていることが確実なので、ここで初めて修理依頼をしましょう。
上の方でもお伝えしたように「どのようなタイミングで異音が発生するか」を含めて、異音についての詳しい説明をしていただけると大変助かります。

状況にもよりますが、ある程度の予想ができれば「もしかしてこれが原因じゃないか?」と思い当たる部品をお持ちすることもできますし、症状についての内容は詳しければ詳しいほど助かります。
ファンモーターを修理・交換する場合の修理内容と修理費用
「ピー音/ブオーンという音がする」という症状の点検内容
- どの部分から発生している異音なのかを確認する。
- ファンモーターから発生している音であれば、ファンモーターに掛かっている電圧やファンモーターの回転数を測定する。
- ファンモーターを分解し、目視にて異物が混入していないかどうかを確認する。
- 異物の混入がないにも関わらず、ファンモーターの回転数等が正常値でない場合はファンモーターを交換して試運転。
ファンモーターの修理費用
- ファンモーター:5000円~20000円(機種によって大きく左右される)
- 作業料:10000円以下
- 出張料
ファンモーターを交換する場合は、作業料と出張料込みで20000円~30000円程度になることが多いです。
ただしファンモーターの種類によって部品の金額が大幅に変わってくるという点は注意してください。
そして、もし「ファンモーターの中に鳥やコウモリなどが侵入してきたせいで異音がしていた」という状況であれば、ファンモーターの清掃だけで済むので、実際の修理費用は10000円程度で済むこともあります。
ただし、この場合ですと「排気筒の一部が破損していて、そこから鳥やコウモリが侵入してきた」ということになり、破損状況を改善しないとまた同様の事態になる可能性が残ってしまうので注意しましょう(原則としては、排気筒トップも併せて交換するカタチになるかと思います)。
リレー基板交換の修理費用
- リレー基板:10000円~25000円(機種によって大きく左右される)
- 作業料:10000円以下
- 出張料
リレー基板が悪いせいでファンモーターから異音がするというケースはほとんどありませんが、ごく稀にリレー基板が原因であることもあります。
リレー基板は機種によって金額が大きく異なる部品なので、発生する修理費用もピンキリであることが多いです。
最後に
異音に関する不具合は、使用者にとって非常に心配になってしまう症状の1つです。
どんなに大きい音であっても、それが原因で事故になってしまうという可能性は極めて0に近いですが、その状況で使用したことによって「本来なら1万円~2万円程度で済んだ修理が、高額修理になってしまった」ということはあるので注意しましょう。