給湯器の交換の時に「フルオートとオート、どちらが良い?というか、何が違うの?」という方も少なくないと思います。
ハッキリ言ってそんなに大きく変わりませんし、どちらが良いかで悩むのであればフルオートを購入しておくのが無難です。理由は大きく2点あります。
- フルオートとオートとで、金額的にそこまで大きな差が生まれない
- フルオートで不要な機能はON/OFFできるため、一部オートとしても使用できる
ただし「今は1円でも節約したい」という方にとっては、少しでも安い方が嬉しいと感じることもあるかと思うので、内容の違いをしっかりと理解してから取捨選択したいという方もいらっしゃるのでは?
このページでは「給湯器のフルオートとオートの違い」について、なるべく分かりやすいように説明しますので、ぜひとも最後までお付き合いください。
給湯器博士、今回もよろしくお願いします!
こちらこそよろしくお願いします!
給湯器のフルオートとオートの違い
フルオートとオートを比べる前に
こちらはリンナイ製給湯器のオンラインカタログの一部です。24号、20号、16号の3種類でそれぞれ左側がフルオート、右側がオートとなっています。
型式に注目してもらうとお分かりになりますが、フルオートはAと表記され、オートはSAと表記されるため、業者によってはフルオートをオート、オートをセミオート(シンプルオート)と表現する場合もあるのでご注意ください。
▶石油給湯器はお湯張り機能ありの機種がおすすめ!衛生面でも安心!
おいだき配管自動洗浄機能の有無
フルオートのメリットは、お風呂のお湯を捨てる時に自動的に配管内をお湯で洗い流してくれる機能です。お風呂のお湯は誰かが入った段階で、どんなにかけ湯をしてからの入浴を心掛けても人数や時間に応じて徐々に汚れていきます。
入浴剤を使用している場合はその成分も関係してくるでしょうし、入浴剤を使用していなくても皮脂などの汚れで雑菌が繁殖するのが普通です。
そしてお風呂を洗う際に浴槽のお湯を抜いただけでは、配管内や給湯器内に残っているお風呂の残り湯は完全に排出されることはありません。
おいだき配管自動洗浄機能は、そんな汚れた残りを綺麗なお湯で押し出すようにして綺麗にしてくれます。
この機能があれば風呂配管内に残る一般細菌を1/3以下にできると言われており、非常に衛生的に使用することが可能です。
ちなみに機種によっては手動で配管洗浄を行うことができる機種もありますし(手動とは言ってもボタンを押すだけ)、フルオートでも「毎回配管洗浄をされてしまうと水道代が高くなる」ということで、その機能を使用しないような設定にしているというユーザー様も少なくありません(こういうユーザー様は手動で行っています)。
昔、鮮やかな青色の入浴剤を使った次の日にお湯張りをしたら、最初の方で薄い青色のお湯が出てきたんだけど、そういうことか。配管洗浄機能があれば、こういうことが防げるって事ね。
ちなみにお風呂の残りに含まれる雑菌は、入浴直後はそこまで多くありません。4人家族であっても最後の人が出た段階では、雑菌の数は大したことないケースが多いです。
ただし1日おいてから次の日となると爆発的に増えているので、2日連続でお湯を使用するというのは衛生的におすすめできないような状況になっています。
まじか!我が家は2日連続使用がルールだよ!
ちなみに配管洗浄で一般細菌の数が1/3になるっていうのは、具体的にはどれくらいの効果があるの?
そうですね…。給湯器が交換になった場合に、新しい給湯器を取り付ける前に配管をクリーニングしてから取り付けすることがほとんどなのですが、配管洗浄を使用していたご家庭の配管だとほとんど汚れが出てこないケースがほとんどです。
一方で配管洗浄機能を使っていない場合だと、ひどい場合はヘドロ状の汚れが出てきたりもします。そういう場面をお客様が見ると「こんな汚いお風呂に入っていたの!?」と驚くケースも少なくありません。
自動たし湯機能の有無
ご家族で使用しているという場合ですと、どうしても体格的に大きな人の次に入るとお湯の量が少なくなっているということもあるのではないでしょうか?遊びたい盛りのお子さんの後なんかも、お湯が少なくなってしまうということが多いそうです。
フルオートなら足りなくなった分のお湯を自動的に足してくれるので、次の人も快適に入浴できます。これなら「いざお風呂に入ろうと思ったら湯量が少ない!」という悩みも無くなるでしょう。
自動沸き上げ機能の有無
フルオートに限らずふろ自動ボタンを押してお風呂を沸かした時は、ふろ自動ボタンが点灯している限り自動保温に入ります。
これは読んだ字のごとく「設定温度に対してぬるくなったら自動的に沸き上げてくれる」という機能ですが、単なるオートの場合はそこまで高い精度で行われるわけではありません。
しかしフルオートであれば誰かがお風呂に入ったのを検知して沸かし上げたり、入浴者がぬるいと感じる前に沸かし上げるという機能を持っています。
そのため自動保温にしながらも追い炊きボタンを押すことが多いという人なら、フルオートの方が使い勝手が良いと感じることも多いと言えるでしょう。
残り湯を沸かし直す際に押すボタンの違い
お風呂を沸かす時に押すボタンは、基本的には「お湯張り時=ふろ自動、沸かし直す時=追い炊き」というイメージです。
例えば2日目もお湯を入れ替えずに使用するという場合、フルオートであれば「お湯張り=足りなくなった分のお湯を補充して追い炊き→追い炊きが完了したら保温動作」となりますが、オートで同じことをしてしまうと「足りなくなった分のお湯の補充の段階で湯量にバラつきが出てしまう」ということが起こります。
毎日お風呂のお湯は替えるという場合であれば、ふろ自動ボタンだけで問題無いでしょうし、フルオートの場合もふろ自動ボタンと追い炊きボタンの違いについてそこまで深く考える必要はないでしょう。
しかしオートで残り湯を沸かし直すというシチュエーションが多いのであれば、ふろ自動と追い炊きの使い分けは必須になります。
どちらか迷うくらいならフルオートがおすすめ!
上の方でも軽く触れたように、左側がフルオートで右側がオートです。
メーカー希望小売価格の時点でフルオートの方が45000円高い価格設定となっています。ちなみにこれはリンナイ製の給湯器ですが、ノーリツ製に関しても大体同じと思っていただいて問題ありません。
メーカー希望小売価格で45000円の差だとすると、本体価格から70%の値引きがあればその金額差は13500円です。この先10年間この機械を使用すると考えたら、1年あたりの金額差は1350円、1ヶ月単位で考えたら100円程度の差です。
何度も言うように、両者にはお湯張りに関する機能に少しの差しかありません。オートでも自分でボタンを押すのが苦でなければ、フルオートとほぼ同等の機能になります。
ただし、全部自動でやってくれるという部分がまさに「痒い所に手が届く」という感じで、使用していて「毎回配管洗浄されてしまうと水道代が高くなる」とか「自動で沸かしあげられてしまうとガス代が高くなる」という場合は、その機能を手動にすることも可能です。
確かに大家族で1人目がお風呂に入ってから全員が入り終えるまでにちょっと時間が掛かるって言うならフルオートの方が良いかも知れないけど、少人数だったらそこまで恩恵はなさそうじゃない?
その通りです。実際に使用者によって「お風呂は熱い方がいい!/ぬるい方がいい!」という希望もあるかと思うので、自動がすべての満足を満たしてくれるかと言ったら微妙な部分もあります。
ただし金額差がそんなに無いので、どちらかを悩むくらいであればフルオートを選んでおいて、あとはその機能を使うかどうかは取捨選択するのが望ましい(1番損をしない方法)です。
ちなみに業者さんにフルオートとオートの2種類の見積書を貰っておいて「オートの金額でフルオートにしてもらえるなら即決します」と言えば、大抵の業者は勉強してくれると思いますよ。
ただちに勉強してくれるか?
フルオートの給湯器の弱点
フルオートには浴槽内にどれくらいのお湯が入っているかどうかを計算する機能が付いており、フルオートには搭載されているけどオートには搭載されていない部品があります。
そのおかげでフルオートなら何でも自動で行えるようになっているのですが、部品の点数が多いので「どちらが壊れやすいか」と聞かれると、統計的にはフルオートと答えざるを得ません(そこまで大きくは変わらないですが)。
あとはお風呂の中にお湯が入っている状態で停電などになってしまうと、給湯器が記憶している湯量の記憶に誤差が生じてしまい、お湯張りの時の湯量がメチャクチャになってしまうという症状があります。
これは説明書を見てもらえれば対策が簡単に出来るのですが、中にはそれを知らずに故障だと思って修理依頼をして、無駄にお金が発生してしまうという事例が非常に多いので、ここだけは注意しておいてください。
▶お風呂のお湯張りが途中で止まる|ユーザーができる対策と修理の内容
最後に
個人的には「悩むくらいならフルオート」で問題ないと思います。この先、10年近く付き合っていくことになる給湯器で「これならオートでも十分だった」という後悔よりも「これならフルオートにすればよかった」という後悔の方が大きいはずなので。
給湯器は高い物が必ずしも良い物とは限りませんが、フルオートとオートの違いは選択肢の広さなので、オート機能を兼ねているフルオートの方が選択肢が広くなる分、使い勝手が良い(使っていて便利に感じる)と思います。
フルオートとオートのどちらにしようか悩んでいるという方は、ぜひフルオートの方向で検討してみてください。