「蛇口から出てくるお湯が冷たい」という症状は、給湯器の不具合の中でも非常に多い内容です。しかし、その全てが給湯器の故障が原因というわけではありません。
実は蛇口自体に温度調整できるサーモ機能が搭載されている場合、それが原因となって「出てくるお湯が冷たい、あるいは設定温度に対してぬるい」ということがあります。
もちろん給湯器の温度調整している部品の不具合であれば、直ちに修理が必要となりますが、もしかすると給湯器以外の部分に原因があるかもしれないので、まずはそれを確認してから修理業者の方に連絡することをおすすめします。
今回は「蛇口から出てくるお湯が冷たい場合の原因」についての記事です。
給湯器博士、今回もよろしくお願いします!
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お湯が冷たいのは給湯器が原因かどうかを探る方法
給湯器がしっかりと燃焼しているかどうか
日本語は難しいので「冷たい」という表現が、果たして「真水に近い」のか、それとも「設定温度に比べて冷たい(ぬるい)」のか。この微妙なニュアンスの違いがあります。
真水に近いのであれば、まずは給湯器の電源がしっかりと入っているか、そして蛇口を開けた時に給湯器の燃焼ランプが点灯するかどうかを確認してください。
たまに「気が付いたらエラーを出して停止していた」なんてこともありますし、もし蛇口を開けたのに燃焼していないというのであれば、給湯器の故障で間違いないでしょう。
ちなみに蛇口を開けても燃焼動作に入らないという症状で最も多いのは、水流を検知している「水量センサ」と呼ばれる水メカの故障です。
▶蛇口を開けても給湯器が動かない|ユーザーができる対策と修理の内容
お湯が冷たい蛇口が全箇所なのか特定箇所なのかを調べる
給湯器はしっかり燃焼しているけど「お湯が冷たい、あるいはぬるい」という場合は、今度はその症状が全ての蛇口で確認できるかどうかを確認してください。
給湯器の故障であれば、給湯器の出口の段階で冷たいお湯が出ているということになります。そのお湯が各蛇口に運ばれてくるということになるので、全ての蛇口で同じような症状にならなければおかしいですよね?
例えば「洗面所とキッチンとで比べると、どっちも冷たいけど程度に差がある」となれば、給湯器の故障じゃない可能性が高くなります。
場合によっては「シャワーだけが冷たい」というケースもあるくらいです。ちなみにシャワーだけが冷たいという場合は、十中八九シャワー水栓のサーモ部分の故障だと思います。
全箇所で同じく冷たいのであれば、給湯器から既に狂った温度で出湯されている可能性があります。もし給湯器の出湯配管を手で触れるようであれば、実際に手で触ってみて確認してみるのも1つでしょう。
いずれにしても全箇所でムラなく冷たくなるのであれば、給湯器の故障の可能性が極めて高いので、洗濯用水栓からの逆流(詳しくは後述しています)じゃないことだけを確認して、修理業者を手配してください。
なんか微妙にムラがあるような気がしないでもないけど、全部似たような温度でハッキリとは分からないなぁ…。
そういう場合は、手間でなければ「全ての水の出る蛇口を元から閉じる」という方法が有効ですよ。
どんな施工状況か、何の水栓を使っているかにもよりますが、もし上記画像のような水栓を使っているのであれば、水側の赤丸部分をマイナスドライバーで閉じることができます。
これで全ての水側を閉じると混ざる物がなくなり、理論上は「給湯器から出湯されているお湯がそのまま出てくる」ということになります。これでしっかり熱いお湯が出てくるようになるのであれば、どこかの蛇口から水が混ざっていると考えて間違いありません。
確かに水側を完全に閉じれば、給湯器がちゃんとしたお湯を出せているかどうかがハッキリするね。
私の経験上、水が混ざっているとすれば「シャワー水栓か洗濯用水栓の可能性が高い」とは思いますが、基本的にサーモ機能が付いていて蛇口で温度調整できる種類の水栓は怪しいです。
サーモって便利だけど、そんな厄介な一面があるんだね。
洗濯用水栓の確認
「蛇口から出てくるお湯が冷たい」という場合で、考えられる不具合のパターンは大きく分けて3パターンです。
- 給湯器の温度調整の部品が故障している
- 蛇口のサーモ機能が故障して、過剰に水を混ぜてしまっている
- どこからの混合レバー水栓から、お湯配管に水が逆流している
もし洗濯機で使用している水栓が混合レバー水栓で、しかもお湯と水を混ぜて使用していて、開けっ放しにしているという場合は注意が必要です。
レバータイプの混合水栓とは、上記画像のような種類の水栓を指します。
形状は物によって異なりますが、動作は「左右上下のいずれかに動かして温度調整する」というタイプの物で、お湯と水を簡単に混ぜることができるタイプですね。
一方でレバータイプの混合水栓以外の水栓となると、一昔前に主流だったハンドルタイプです。水とお湯でそれぞれ独立していて、お湯に対して水を混ぜたいという場合は「両方のハンドルを回さなければならない」というタイプの水栓となります。
あなたのご家庭の洗濯用水栓がどちらのタイプかは分かりませんが、ハンドルタイプならお湯側を完全に閉めてどうなるか、レバータイプなら完全に水側にしてどうなるかを確認してみてください。
もし「お湯と水を混ぜて選択していて、蛇口は開けたままで洗濯機側で制御していた」という場合であれば、これで改善する可能性が極めて高いでしょう。
冬時期は特に「ぬるま湯で選択している」というご家庭が多く、毎回蛇口をしっかり閉めているというわけでもなければ、水がお湯配管の方に逆流してしまうことがあります。
お湯の配管に水が入って行くことになるので、出湯温度がだいぶ下がってしまうという理屈です。
水栓に不具合があった場合の修理依頼先は?
ちなみにご自身で色々やってみて「シャワー水栓が悪いみたいだ!」と判明した場合、シャワー水栓を修理することになると思います。あなたならどこに連絡をしますか?
この場合、最も望ましいのは「水栓のメーカー」です。ただし水道屋さんなら幅広く対応できるかと思うので、そういう場所に依頼するのも1つでしょう。
このように水栓に原因があると判明したうえで業者を手配できれば二度手間にならずに済むのですが、何も調べずに「お湯が冷たい→給湯器が壊れた!→給湯器のメーカーを手配」となると、もし水栓が悪かった場合に「点検、機器異常なし」という診断をされてしまい、点検料と出張料が発生してしまいます。
そしてメーカーの名前を背負っている業者の多くは「自分の管轄外のメーカー商品は基本的には触らない」という判断をするはずです。
水栓そのものを丸ごと新品に交換となれば多くの業者が可能な作業ですが、修理するというのであれば専門家にお願いすることをおすすめします。
▶どこに連絡をするのが正しい?|給湯器が故障した際の修理の連絡先・依頼先
蛇口のお湯がぬるい・冷たい=給湯器に原因がある場合
温度調整をしている部品が故障している可能性大
給湯器は「熱いお湯を作って、そこに水を混ぜて設定温度にする」という仕組みになっているので、蛇口から出てくるお湯がぬるい・冷たいという場合の多くは、設定温度に対して過剰に水を混ぜすぎてしまっていることが原因であることが多いです。
水を混ぜている部品はバイパス水量サーボと呼ばれる部品で、一応エラーコード(E661)もあるのですがエラーを出さないことも多く、極端に熱くなったり冷たくなったり…。微妙にぬるくなるという症状を出すこともあります。
もし「微妙にぬるい(温度にして5℃くらい)」という症状の場合、設定温度そのものを高くすることによってカバーすることができたりもしますが、非常に不安定な症状であることが多く、突発的に正常温度になったりするので注意してください。
最高温度にすればちょうどいいお湯が作れるってなったら、最高温度にして騙し騙し使ってるって人もいそうだね。そんな時に正常温度になったら…想像するだけで恐ろしいな。
バイパス水量サーボが故障すると、お湯がぬるくなるか熱くなるかが分かりません。どっちの可能性も考えられるので、髪を洗ったりするときは非常に危険です。このような症状が出た時は、できれば「本当に給湯器の故障なのかどうか」を考えた上で修理業者を手配してください。
バイパス水量サーボ交換の修理費用(大まかな目安)
- ミキシングサーボモーター:10000円以下
- 作業料:10000円以下
- 出張料
ミキシングサーボモーターは機種によって値段が変わりますが、大体3500円~7000円くらいの間に収まります。
しかし機種によっては2つ搭載されている場合があり、この場合は車で言うところのブレーキランプの交換のような感じで2つ一緒に交換することが多いです。1つなら15000円~20000円以下、2つなら25000円前後くらいが平均的な相場になります。
最後に
蛇口から出てくるお湯が冷たいと思ったら、その原因が本当に給湯器にあるのかどうかを調べ、給湯器にありそうなら給湯器メーカー、水栓にありそうなら水栓メーカーに問い合わせるのがベストです。
いずれにしても、蛇口から出てくるお湯がぬるいだけでエラーなどが出ていないのであれば、追い炊きは可能(追い炊き機能付きの場合)なので、お風呂に入れないということはありません。間違った業者を手配して損しない為にも、「本当に給湯器の故障なのかどうか」を探ってみてください。