- リモコンの電源が付いたり消えたりする
- 気付いたらリモコンの電源が勝手に消えていた
- リモコンの操作にタイムラグがある
上記のような症状がある場合、本当はエラー(E760)を出しているんだけど、それすらも表示できないという症状かもしれません。ノーリツやリンナイの給湯器が出すE760、パロマの給湯器が出すE76、E760はリモコン伝送異常のエラーです。
リモコンそのものが悪くなった時にも出るエラーなのですが、リモコンが悪くなりすぎてしまうと「エラーを表示するための表示すらできない(完全に消えてしまう)」ということが起こるので、ある一定の条件が揃わないとあまり表示されないエラーなのですが、ある一定条件下では非常によく見られるエラーとなっています。
今回は給湯器のE760に注目して、E760を直すのにはどれくらいの修理費用が発生するのか、また「ユーザー様の方で応急処置はできるのかどうか」などについて詳しく解説していきますので、最後までお付き合いください。
給湯器博士、今回もよろしくお願いします！
こちらこそよろしくお願いします！
給湯器のリモコン伝送異常(E760)とは？
給湯器のリモコンは給湯器本体に取り付けられていることもあれば、台所やお風呂場などの場所に設置されていることも多く、圧倒的に後者の方が多いです。
そして給湯器本体から離れた場所に設置されている場合は、給湯器と有線で繋がっており、壁の中や床下・天井裏を通って各リモコンと繋がっています。
たまに「給湯器のリモコンが付かない＝リモコンの電池が切れた？」と考える方もいますが、リモコンを動かしているのは給湯器からの電圧です(少数ですが電池で動作するタイプのリモコンも存在します)。
リモコン伝送異常というのは、この電圧がしっかりと受け取れていないという状況で表示されるエラーです。
しかしリモコンを動作させるための電圧を100%受け取れていない場合は、リモコンの表示そのものがままならないので、基本的に760のエラーが表示されている場合は「リモコンが壊れかかっている状態/リモコン線の接触不良」などが多いです。
我が家でもE760が表示されたことがあるんだけど、その時はエラーが表示されることもあれば、勝手にリモコンの表示が消えていたということもあったよ！
E760の場合は、エラー表示されるパターンと画面そのものが勝手に消えてしまうパターンの2つに大きく分かれます。
画面が消えてしまうという場合でも、エラー履歴を確認するとE760が表示されていることも多いので、リモコンが勝手に消えてしまうという症状と抱き合わせで発生することも多いです。
E760を引き起こしている原因として多い例
リモコン本体の故障
上の方でも軽く触れたように、リモコンが完全に故障してしまうと全く付かなくなってしまいます。E760が表示されたりされなかったりという場合ならリモコンの30%程度が故障している状態、電源を入り切りしてもずっとE760が表示されているという状況なら80％程度が故障している状態という解釈でOKです。
風呂機能付きの給湯器であれば、台所とお風呂場にそれぞれリモコンが設置されていることがほとんどだと思いますが、この場合は片方のリモコンが正常だとしても両方おかしい症状になることが多いです。
本来であれば正常なリモコンも悪いリモコンに引っ張られて(巻沿いにされて)、正常動作ができないというケースも少なくないので注意しましょう。
ちなみに「風呂リモコンは付いたり消えたりで、台所リモコンが全く付かない」という場合でも、実際に悪いのは風呂リモコンというケースは非常に多いです。
悪い方が正常な方の足を引っ張っているという感じだね。それだけならまだしも、故障している方があたかも自分の方が正常だと見せつけるなんて、とんでもない症状だな！
リモコン線の腐食、一部断線
屋外タイプの給湯器で非常に多いのが「端子部分に接続されているリモコン線の一部が腐食している」というケースです。
直接雨風には当たっていないにしても、湿気などの経年的な要素の影響を受けて銅線が腐食しているケースが非常に多く、それによって接触不良を起こしているだけというケースが非常に多いように思います。
あとは滅多にないことですが、ネスミなどの生物によってリモコン線が噛まれてしまって接触不良を起こしているというケースも何度かありました。
ネズミにリモコン線の一部を噛まれていて、歯形が付いていてボサボサにはなっているけど完全には噛み切られていないという場合は、たまにE760が表示されたり、リモコンが付いたり消えたりという症状になることが多いです。
E760が表示された時のユーザー側での対処法
思ったんだけど、台所と風呂場にリモコンが付いている状態なら、両方が同時に壊れてしまうことって考えにくいじゃん？悪い方が足を引っ張って両方使えない状況になっているなら、良い方だけ残せば普通に使えるってことだよね？その切り分けって素人には難しいのけ？
給湯器の種類によってリモコンの端子台がどこにあるのかが変わってきますが、ある程度の工作技術がある人やDIYが好きな人なら十分に可能なレベルだと思いますよ。外置き給湯器を使用していて、E760が表示されているとかリモコンが付いたり消えたりしているという場合は、DIYが得意な人なら自分で直すことも十分に可能だと思います。
外置きの給湯器であれば、お家から出て給湯器の中に入って行っている線を目で追います(給湯器から出ている線は、基本的にはコンセントプラグかリモコン線のみ)。
その線が繋がっている端子部分をチェックしてみて、本来の銅線が緑色になって腐っている場合は接触不良を起こしている可能性が高いです。この場合は腐食している部分を切り落として、新たに被覆を剥いて繋ぎ直せば改善する可能性があります。
▶リモコンの電源が勝手に消える｜ユーザーができる対策と修理の内容
一方で「腐食がなく、どちらかのリモコンが壊れている可能性がある」という状況であれば、端子台に繋がっているリモコン線の中で「壊れているリモコン線だけを取り外す」ということをすれば、正常な方のリモコンだけを正常に動作させることも可能です。
リモコン端子台には台所リモコンからの線2本と、風呂リモコンからの線2本の合計4本が繋がれています。
状況によっては端子台にどの線がどのリモコンに繋がっているかを明記してくれている場合もありますが、これは状況によりけりですし、その表記が正しいかどうかは確認してみないと分からないので、とりあえず1組のリモコン線を外してどうなるかを見てみるというのが間違いないでしょう。
リモコン線Aとリモコン線Bがあるなら「Aだけの接続にしてみてどうか、Bだけの接続にしてみてどうか」を見ることで、片方が正常なら正常なリモコンだけでの動作は可能になります。お湯が使えなくて本当に困っているという人で、ある程度DIYに精通しているという方は自己責任で試してみるのもアリだと思います。
E760を修理・部品交換する際の修理内容と修理費用
E760の点検内容
- リモコン本体に正常に電圧が来ているかどうかを確認する
- 正常に電圧が来ている→リモコン故障の可能性あり、正常な電圧が来ていない→リモコン線か基板に原因がある可能性が高い
- リモコン本体に原因がある可能性が高ければ、風呂リモコンと台所リモコンのどちらが悪いのかをハッキリさせる。リモコン線に原因がありそうなら目視にて確認する
ごく稀に「リモコン線に原因があるのは間違いないが、どこに原因があるのか分からない」というケースもあります。
私たちのような給湯器の修理メーカーは、給湯器内部に関することはプロフェッショナルですが、床下や天井裏を這っているリモコン線をチェックするということは難しい場合があるので、このような場合は「電気屋さんにお願いしてもらえますか？」とお願いすることがあるので、予めご了承ください。
出張料分のお金損した！
あまり無いケースではありますが、お家の中でネズミなどによってリモコン線をかじられている場合は、このようなケースになることがあります。
そういう時は「リモコン線を正常な状態にしてもらわないと、点検診断ができない→リモコン線を正常な状態にするのは専門外」という判断をすることもあります。
このような場合は、然るべき業者にリモコン線を直してもらってから、再度点検にお伺いするというカタチになると思いますが、給湯器メーカーへの点検費用と電気業者へのリモコン線の修繕費用、更に原因がネズミにあるという場合は「害虫駆除」などもしなければ再発の可能性もあるので、深刻に受け止めることをおすすめします。
メインリモコン(台所リモコン)交換の修理費用
- メインリモコン：10000円以下
- 作業料：5000円前後
- 出張料
メインリモコンは風呂リモコンと比べると金額的に安いことがほとんどです。もし風呂リモコンが正常に使えるという場合であれば、メインリモコンの修理は諦めて、風呂リモコンだけで使用していくという選択もできます。
もし給湯器が古いという場合、いたずらに修理をするのではなく「風呂リモコンだけで騙し騙し使用し、それがダメになったらもう思い切って新品の給湯器に交換する」という選択肢もおすすめです。
サブリモコン(風呂リモコン)交換の修理費用
- サブリモコン：10000円～20000円
- 作業料：10000円以下
- 出張料
メインリモコンに比べると部品代も作業料も高くなります。
メインリモコンの時は「いっそ修理を諦めて風呂リモコンだけで使用していく」という選択肢もありましたが、風呂リモコンが壊れてしまったという場合は機種によって「追い炊きの温度が決められない」という不便さがあるので、個人的にはリモコンを交換するか本体を交換するかを検討した方が良いと思います。
ちなみにここでリモコンを交換し、間もなく別の部分が壊れて給湯器交換を決断した場合に「リモコンは新しいから次の給湯器で再利用したい」ということが出来るかどうかは、そのリモコンの種類によります。
給湯器交換を決断できない場合はリモコン交換になると思いますが、その際は「次の給湯器でも再利用ができそうなリモコンかどうか」を尋ねてみるといいかもしれません。
リモコン線手直しの場合の費用
- 部品代：なし～500円以下
- 作業料：5000円以下
- 出張料
最も軽い症状の場合は、リモコン端子台にてリモコン線が腐食していたというケースで、この場合は5分程度の作業時間で完了する極めて簡単な修理になることが多いです。
発生する修理費用も10000円以内どころか5000円以内に収まるケースも十分に考えられるでしょう(出張料を入れたら5000円～10000円くらいになります)。
最後に
E760は割と頻繁に見られるエラー番号の1つですが、症状の良し悪しは多彩です。
特に年数が経過している時のリモコンの故障は、修理してももう片方のリモコンがまたすぐに壊れてしまう可能性が残りますし、リモコンだけの故障で本体の交換に踏み切れるという人もそんなにいないと思います。
しかしリモコンの不具合は、給湯器の機器寿命が迫っているという時にも頻繁に見られる症状の1つですので、トータル的に判断して慎重な対応をできるように心掛けてみてください。