E643は暖房機能のある給湯器や暖房ボイラーにおいて、非常に多く見られるエラーの1つです。暖房ポンプに異常が見られる時にE643を出します。
全く使用できないというケースもあれば、ちょっと動いた後でエラーを出して停止してしまうというケースもあり、少なくともエラーが頻発して出ているのであれば放置していて勝手に直るというエラーではありません。部品交換が必要になります。
このページではE643が出た時にユーザーが出来る事と修理の際のおおよその予算について解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
給湯器博士、今回もよろしくお願いします!
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給湯暖房機のE643の概要とユーザー側の対処法
給湯暖房機のE643の概要
暖房回路を持つ給湯器、あるいは暖房専用ボイラーで「ポンプの回転不良」などが発生した時に出るエラーがE643です。
暖房を使用している時期に出やすいエラーではありますが、お使いの機種によっては「お風呂を沸かすときに発生するエラー」でもあります。必ずしも暖房を使用している時に出るエラーというわけではありません。
また、給湯器の機種によってはE642というエラーコードを出す場合もありますが、この場合はふろ循環ポンプの異常となります。
循環ポンプの動作音に異常が確認できるケースもありますが、前兆を伴わずに故障してしまうケースもあり、暖房ポンプ自体の経年劣化や不凍液の劣化によって故障してしまうケースが多いです。
あとは電装部の不具合が原因で「循環ポンプは悪くないのにE643を出してしまう」というケースもあります。この場合は基板の交換が必要になることが多いです。
E643に対するユーザー側での対処法
エラーが頻発するという場合は循環ポンプの回転数が落ちていたり、ポンプに異常な負荷が掛かっている恐れがあるため、早急な点検をおすすめします。
一方で「1回出たきり、その後は全くエラーが出ない」というケースもあります。この手のケースでは「たまたま不凍液内の結晶が循環ポンプに絡んで一時的にエラーを出した」などの可能性も考えられるため、様子を見ながら使用するのがおすすめです。
いずれにしてもユーザー様の方で「変なボタンを押してしまった」とか「まずい使い方をしてしまった」という理由で表示されるエラーではありません。
ポンプが故障して回転できずにいるか、回転数が極端に落ちているか。それらが原因で表示されるエラーなので、一時的に出たというものでなければ暖房やお風呂の追い炊きが使用できなくなってしまう可能性があるので、早めに修理業者を手配しましょう。
E643を修理・交換する際の修理内容と修理費用
E643の点検内容
- 暖房循環ポンプに電圧が掛かっているかどうか
- ポンプに対して負荷が掛かるような原因がないか
まず確認するのは、基盤から循環ポンプに対して電圧が掛かっているかどうかです。そもそもの電圧が出ていないのであればポンプは動作しないので、その場合は循環ポンプそのものよりも電装基盤や電源基盤が怪しいということになります。
電圧がちゃんと掛かっているのにポンプが動作していないというのであれば、一気に循環ポンプ故障の可能性が出てきますが、これを引き起こした原因が他にないかどうかを点検することも重要です。
割と多いのは「粘度の高い不凍液を使用していて、循環ポンプに負荷が掛かりやすくなっていた」などの例ですが、不凍液が劣化していることが原因でポンプに負担を掛けたケースもあるため、部品交換をする前に各状況を点検します。
ちなみに不凍液は3年に一度のペースで全交換をすることが推奨されています。最低でも5年に一度は総入れ替えをしてほしいところです。
▶暖房ボイラーの不凍液交換、補充は自分で出来る?|不凍液交換の方法
原因が電装基盤にあった場合の修理費用の目安
- 電装基盤:10000円~30000円程度
- 作業料:10000円以下
- 出張料
電装基盤だけの故障なら、出張料と作業料を含めて50000円以下になるケースがほとんどです。ただし基盤の価格は給湯器の機種によって異なるため、高い基盤の機種だったとすると高額修理になってしまいますが、作業時間は短く、部品さえあれば簡単に直せます。
電装基盤と同時に循環ポンプが故障してしまう可能性もゼロではないので、この場合は「とりあえず電装基盤を交換してみてどうなるか」を見てからになります。
基盤から電圧が出てない場合は、基盤を交換してからでないとポンプの良し悪しが判断できないってことか。
基盤とポンプが同時に壊れてしまうケースは滅多にありませんが、万が一というケースもあるので、交換作業に入る前に必ず「基板を交換してみてどうなるかを再診断しなければなりません」とお伝えすることが多いです。そして落雷直後から動かなくなったという場合だと、基盤もポンプも壊れてるケースが珍しくありません。
その場合は落雷の保証に入ってれば大丈夫だったりするの?
落雷が原因の場合、給湯器の製品保証や保証延長は対象外ですが、ユーザー様ご自身で加入されている火災保険、家財保険などで対応してもらえるケースはあります。必要書類で部品の写真などを提出する必要があるので、お伺いしたサービスマンに保険を利用したい旨をお伝えください。
原因が循環ポンプにあった場合の修理費用の目安
- 電装基盤:15000円~25000円程度
- 作業料:10000円以下
- 出張料
循環ポンプも機種によって値段幅がありますが、平均は大体20000円前後になることが多いような気がします。そこに作業料と出張料が加算されて、ポンプ交換だけの作業なら工料も10000円弱となるでしょう。
ただし暖房ポンプを交換する際に、空気が入ってしまったり不凍液が減ってしまったりするので、暖房端末によってはエア抜き作業などが必要となり、若干作業料が高くなってしまう可能性があります。
もちろん循環ポンプが壊れてしまった原因が不凍液にあるなら、ポンプと一緒に不凍液の交換も必要となり、その時の費用は50000円を超えてしまうかもしれません。
もし大規模な修理になるようであれば、使用年数と照らし合わせて暖房機本体の交換も検討されることをおすすめします。
最後に
真冬の寒い時期にE643が出てしまうと、一切暖房が使用できなくなってしまうケースも考えられます。しかも全国的に同様のエラーが多発していることが想定され、場合によっては「部品が手に入らない(注文しても納期が出ない)」ということも。
このような場合は簡単なストーブなどを用意して、少しでも寒い思いをしなくても済むような工夫をしてみてください。