給湯器には「床置きタイプと壁掛けタイプ」が存在します。
多くのユーザー様は特に自分で希望したわけでもなく、お家を建てた時にこっちが取り付けられていたということで、その後に給湯器を買い替える機会があっても「今までのタイプと同じもの」を選ぶ傾向が強いです。
もしかすると人によっては「え!?壁掛け(床置き)のタイプもあるの!?」と驚いてしまう人もいるでしょう。本記事では以下のようなことが分かります。
- 床置きタイプと壁掛けタイプの違い
- それぞれのメリットとデメリット
- 床置き⇔壁掛けに変更する際の注意事項
床置きには床置きの、壁掛けには壁掛けのメリットがあります。人によっては「なんでこんな場所に設置したんだろう」と感じるユーザー様もいらっしゃると思いますし、窮屈な場所に設置されているのであれば、設置タイプを変更することで使い勝手が大きく変わるかもしれません。
今回は給湯器の選び方の中でも「床置きタイプと壁掛けタイプの違い、特徴、メリット&デメリット」について分かりやすく解説していきたいと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。
給湯器博士、今回もよろしくお願いします!
こちらこそよろしくお願いします!
床置きタイプと壁掛けタイプ、人気があるのはどっち?
出荷台数が多いのは断然壁掛けタイプ
給湯器博士!我が家には床置きタイプが設置されているんだけど、床置きタイプと壁掛けタイプだったら人気があるのはどっちなの?
信頼できるデータは見つけられませんでしたが、間違いなく壁掛けタイプの方が人気です。マンションはガス給湯器の壁掛けタイプがほとんどですし、壁掛けタイプの方がコンパクトで場所を取らないので、集合住宅のほとんどは壁掛けタイプを採用しています。
我が家の給湯器も壁掛けタイプにしてくれるか?
出荷台数だけで考えるのであれば、間違いなく壁掛けタイプの方が多いです。石油給湯器の場合は、床置きタイプを採用しているケースも少なくありません。
しかし石油給湯器とガス給湯器で考えると、全国的にはガス給湯器を使用している世帯数の方が圧倒的に多いので、数だけを比較するのであれば壁掛けタイプの方が人気が高いと言えるでしょう。
壁掛けタイプが人気の理由
壁掛けタイプの方が人気の理由に「スペースの有効活用がしやすい」というものがあります。
給湯器を設置している場所として人気なのは洗面所・脱衣所ですが、このようなスペースは少しでも広い方が使い勝手が良いので、壁掛けタイプを採用しているケースが多いです。
また、洗濯機を置く場合に少しスペースを被せるようなカタチで「洗濯機を使うのに邪魔にならない程度の位置に壁掛けタイプを設置する」というスタイルもよく見られます。
確かに床置きタイプだと「給湯器の上に物を置く」って選択肢はほぼなくなるけど、壁掛けタイプなら給湯器の下にちょっとした物が置けるね。
集合住宅だと入口横のちょっとしたスペースに給湯器を嵌め込むようにして設置していることが多いので、少しでもコンパクトな壁掛けタイプの方が便利だという一面もあります。
床置きタイプと壁掛けタイプに金額差は無し
多少の金額差はありますが、非常に微々たるものです。定価でも1万円程度の差であることがほとんどなので、値引き後の価格を比べるのであれば金額差はほとんど無いと言っていいでしょう。
- 壁掛けタイプ:386,000円
- 床置きタイプ:397,000円
ノーリツの屋外用ガス給湯器で比較してみると、壁掛けの方が11,000円ほど安い価格となっています。
定価で10,000円前後の差は大した金額差ではありませんが、ガス給湯器では壁掛けタイプの方が人気があるので、もしかすると「取扱が多い=よく売れる=一気に購入できる分、1台あたりの金額が安くなる」というカラクリはあるかもしれません。
床置きタイプと壁掛けタイプの特徴、メリット&デメリット
スペースの有効利用ができる
壁掛けタイプの一番のメリットがこれです。省スペース化に最適で、洗濯機の上に設置するのと洗濯機の隣の床に設置するのとでは、どちらがスペースを広く使えるかというのは、一目瞭然と言えるでしょう。
「壁掛けタイプで下のスペースが利用できるなら、床置きタイプで上のスペースが利用できるのでは?」と考えるユーザー様がいらっしゃるかもしれません。ですが、床置きタイプには排気筒が上に伸びるケースが多いため、上のスペースを利用しようにも排気筒がネックになってしまうケースが多いです。
修理やメンテナンスがしやすい
設置状況がよほど酷くない限りは、壁掛けタイプの方が修理しやすいことが多いです。「修理するのは業者の人だし自分には関係ない」と思うユーザー様がいらっしゃるかもしれませんが、実は影響があることも少なくありません。
給湯器の修理内容によっては、修理スタッフが1人で対応できない場合があり、2人作業となることがあります。いつでも人手が余るほど暇な業者ならいいのですが、2人作業というのはイレギュラーなので、多くのケースで改めて日程調整が必要になるでしょう。
そうなってくると「壁掛けタイプなら即日修理ができたかもしれないのに、床置きタイプだから改めて日程調整をして再訪問が必要」となってしまう可能性が出てくるので、メンテナンスしやすいのは壁掛けタイプの大きなメリットと言えます。
お湯が使えないという状況になったら1日でも早く直してもらいたいのに、床置きタイプだと1人じゃ修理できないこともあるのか!
大掛かりな修理になる場合、お家の中で修理すると汚してしまう可能性があるので、お家の外に運び出して修理することがあります。この時、壁掛けタイプなら1人で運び出すこともできるのですが、床置きタイプだと1人で運び出すことは難しいです。
排気筒(煙突)の位置が高い位置になる
給湯器には必ず排気口がありますが、屋内設置の給湯器には排気筒が設けられています。排気筒は熱くなることが多く、手で触れると火傷してしまう危険性も出てきます。
しかし、壁掛けの給湯器は高い位置に設置されることが多いため「手で触れる危険性が低くなる」のもメリットの1つです。小さなお子さんがいらっしゃるご家庭では、気を遣った方が良い部分かもしれません。
▶エコジョーズのメリット・デメリットまとめ|小学生でも分かるように解説
石油給湯器の少し特殊な事情
壁掛けタイプの方が燃焼音が小さい
石油給湯器の場合は、床置きタイプよりも壁掛けタイプの方が燃焼音が小さい機種が多いです。現在床置きタイプを使っているというユーザー様の中に「燃焼音がうるさいのが気になる」という方がいれば、壁掛けタイプに変えるだけでも満足できる結果が得られるかもしれません。
この理由は「壁掛けの石油給湯器では気化式バーナーが採用されているから」で、液体燃料の石油をガス状にして燃焼させることで、燃焼音を小さくしています。
そのため、もともと気体燃料を使用するガス給湯器では「床置きタイプも壁掛けタイプの燃焼音が低い」ので、ガス給湯器の場合はメリットになりません。しかし石油給湯器においては、顕著にメリット・デメリットが生じるので、押さえておくと良いでしょう。
気化式バーナーは確かに燃焼音が低いのですが、その裏には「リモコンの電源を入れてもすぐにお湯が使えない」というデメリットがあります。すぐにお湯が使えるメリットを取るか、燃焼音が小さいメリットを取るかってところですね。
すぐに使える燃焼音の小さい石油給湯器を作っておくれ。
貯湯タイプは床置きタイプにしか存在しない
石油給湯器には「貯湯タイプ(セミ貯湯式)」と呼ばれる、給湯器の内部にタンクを持っているタイプの給湯器が存在します。
地下水を利用していたり、住んでいる地域の水質があまり良くないという場合は、貯湯タイプを利用しているユーザーも多いのですが、貯湯タイプを使用したいという場合は床置きタイプ一択となります。
貯湯タイプは大きなタンクを持っていて、その中に常にお湯を作っておくタイプの給湯器なので、壁掛けにした時の重量がとてつもなく重くなってしまいますから、床置きという選択肢しかありません。
▶セミ貯湯式石油給湯器の特徴と選び方|少しでも快適な選択をする為に
床置きタイプと壁掛けタイプの変更は可能か
ユーザー様によっては「今使っているのは床置きタイプだけど、簡単にできるなら壁掛けタイプに変更したい」という人もいるのではないでしょうか?結論から言うと設置状況によって手間の大小はありますが、床置きタイプと壁掛けタイプの変更は可能です。
ただし設置状況によって「変更することで十分な恩恵を受けられる場合とそうでない場合」が出てきます。煙突の位置が変更になる場合などは以前までの穴を塞ぎ、新たな場所に穴を開ける必要が出てくるので、給湯器の交換を検討する段階で業者の人に相談することをおすすめします。
ボイラー小屋などの専用のスペースがある場合は別ですが、脱衣所などに設置している場合は壁掛けタイプをおすすめします。スペースを有効活用できますし、給湯器の下のスペースに洗濯機を置いたり、洗濯カゴ等を置いたりできるのは非常に大きなメリットだと思いますよ。
我が家の給湯器も大至急、壁掛けタイプにしてくれるか?
本記事のまとめ
- 給湯器には床置きタイプと壁掛けタイプが存在する
- もし現在の給湯器に不満があるなら変更も可能
- 変更を希望する場合は、施工業者に相談してみよう
現状で不満がないのであればそれに越したことはありませんが、もし「変更した方がメリットが大きそう」と思うのであれば、給湯器の交換業者の人に相談してみるといいでしょう。もし私が新築でお家を建てるとしたら、壁掛けのガス給湯器にすると思います。
床置きタイプを使用している方で「もうちょっとスペースが広くなればなぁ」と考えたことが一度でもあるというユーザー様は、ぜひ壁掛けタイプへの変更をご検討ください。